2015年8月に鹿児島県の川内原発1号機が再稼働し、2013年9月以来続いていた、日本の原発ゼロが終わりました。
そして、福井県の高浜原発も2016年1月の再稼働を目指しています。
2011年3月の東京電力福島第一原発事故から5年になろうしている今、日本はエネルギー政策の岐路にたっていると言えます。
賛成・反対の意見が分かれる中、我々ができることの1つが、メリット・デメリットを理解してそれぞれの意見を持つことではないでしょうか。
今回は、原発のメリット・デメリットと、それに対する反対意見・問題点を見ていきましょう。
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原発のメリットと反対意見・問題点
発電コストが安価
原発は火力発電など従来の方式に比べて、同じ電力を作るのに必要なコストが安いと言われています。各地の原発が停止した時期に、電気料金の値上げが続いたことからもその点はわかりますね。
【反対意見・問題点】
ただし、福島原発のように事故が起きた時にかかるコストは含まれていません。
この辺が議論を呼ぶところです。
環境にやさしい
原発は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出しません。従来はクリーンなエネルギーとされていました。
【反対意見・問題点】
これもコストの話同様、事故が起きた時に環境に与える問題があります。
福島第一原発は汚染水の問題が続いていますね。
地域に経済効果を生む
原発による地域への経済効果、いわゆる「原発マネー」は大きなものがあります。原発が作られれば、そこで働く人が必要です。技術者など必要な人材が地域の住民として増えますし、地元住民に対する雇用も生まれます。
また、原発交付金(正式には電源立地地域対策交付金)と呼ばれる、国からの交付金が地元自治体に配られます。
【反対意見・問題点】
原発がある自治体は、原発マネーに依存した体質になってしまう点を問題視する意見があります。
また、事故が起きた場合に最も影響を受けるのが地元住民なのは、言わずもがなです。
原発技術の輸出で国際競争力を高める
原発は高い技術を要するため、後進国が原発開発を進める場合は、他国の力が必要となります。日本が高い技術力をアピールできれば、他の国に技術力を輸出したり、日系企業が建設や運営を請け負うことにつながり、日本の利益に結び付きます。【反対意見・問題点】
福島第一原発の後処理が片付いていない中、安全性を他国にどう示していけるのかという意見があります。
また、輸出先で事故が起きた場合の責任問題や、各国からの批判というのも問題になってきます。
続いて、デメリットを見て行きましょう。
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原発のデメリットと反対意見・問題点
事故の影響が大きい
福島第一原発の事故で経験している通り、事故が起きてしまった時の影響はその時だけでなく、廃炉の問題や放射線問題などが長期間続きます。また、自然災害への対策を十分に行って、テロの標的にされてしまう可能性も指摘されています。
【反対意見・問題点】
技術の進歩によって、事故の発生をほぼなくせるという意見があります。
再稼働した・する原発は新しい規制基準下で進められているのですから、そういった考えに準じたものといえるでしょう。
廃棄物の処分
原発によって発生した放射性廃棄物は千年から数万年もの間、放射能が残ると言われています。この放射性廃棄物をどのように、どこに処分するかという問題があります。地層処理という方法で地中深くに廃棄物を埋めるとされていますが、その場所はまだ決まっておらず、実施されていません。
言いかえると、放射性回帰物から放射能をなくす技術というのは今のとこと存在していないということになります。
【反対意見・問題点】
これも技術の進歩によって解消できるという意見があります。
安全性が証明されれば、受け入れる自治体も出てくるかもしれません。
トータルコストが明確でない
発電コストが安価というメリットを挙げましたが、ここまで出てきた通り、事故が起きた時の後処理、賠償金、さらには放射性廃棄物の処分に関わるコストなど、潜在的な要素を加えたコストを考えると、安価とは言い切れません。【反対意見・問題点】
デメリットの反対意見すべてそうですが、これも今後の研究・進歩しだいということになります。
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他にも様々なメリット・デメリットとそれに対する意見、問題点があるでしょう。
その中で言えることは、原発を使うには「リスク」があるということ。
で、リスクがあるからダメというわけではなく、そのリスクとどう向き合うかという点が重要です。
リスクに向き合う方法は主に「回避する」「軽減する」「許容する」ことです。
飛行機の墜落リスクに対して、技術力を高めて安全性を高めるのが「軽減」ですし、飛行機に乗ることは墜落リスクを「許容する」ことになり、墜落が怖いから乗らないというのは「回避」ですね。
原発事故を体験した日本だからこそ、そのリスクにどう向き合うのかという観点が日本のエネルギー政策を考える上で大事なことかもしれません。